ホタルノヒカリ何度目か1−2−10

呆然と立ち尽くす蛍さん、ぶちょーさんは夕食の用意をしています。蛍さんは居留守を使おうとしますがぶちょーさんがふとあの資料を見て蛍さんが一生懸命作っていたのを思い出しました。何かじっと見て考えています。意を決したようにカッパを着込んで資料を手島くんに渡してこようと出かけました、外は台風が来て大荒れです、何とか手島君が家に来る前に渡そうと危ないところも切り抜けてなんとか手島くんに遭遇して渡すことができました。やれやれです。手島君ももらった資料で何とか壁を抜けデザインが進みそうです。
嵐が過ぎてぶちょーさんが縁側に座っています、何かを思い出しているようで少し寂しそうです。
蛍さんが黙ってビールを差し出します、そして一緒に座ってかしこまっていいました「ご迷惑をおかけしました」「本当にすみませんでした」ちょっと素直だぞ
そしたらぶちょーが突然思い出話を始めました。
「料理がへたでさ、別居中の妻、それでも結婚してすぐの頃、はりっきて弁当作ってくれた。君みたいに徹夜とまで行かないが、一生懸命作っていた、」蛍さん真剣に聞いています。初めてぶちょーさんがプライベートを話してくれました。
愛妻弁当ですね、おいしかったでしょう」
「たべなかった」「え!」「仕事が忙しかったし、その頃昼飯は大概クライアントと一緒だったから弁当持って行かなかった。一生懸命作っていたのを知っていたのに」「あんまりいい夫じゃなかった」ちょっと後悔して寂しそうな顔をしているぶちょーさんを蛍さんが心配そうに見つめています。その顔がすばらしい、この顔を見たら綾瀬はるかに惚れちゃいます、そしていいました「人は変われますよね、あまりいい夫じゃなかったぶちょーと恋愛からずーと遠ざかっていた干物女、変わることできますよね」もうしびれました、最高です蛍さん、すばらしい表情です。ぶちょーさんも蛍さんを見つめて何か感じています。きっと心に響いたんでしょうね「人は変われますよね」て言葉に。
でも、ここはぶちょうさんの小憎たらしいところ、ふと心を切り替え蛍さんをからかいます。いいムードだったのに。
「君は」「はい!」「無理」「一生無理」「死ぬまで無理」「死んでも無理」「生まれ変わっても無理」「絶対無理!」「未来永劫君は干物女だ」といってとっとと部屋に入っていってしまいました。
蛍さんは悔しがって足をばたばた、泣いて悔しがります。